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埼玉県入間市ジョンソンタウン [世界のまちかど]

 10月11日、芝浦工大鈴木研究室メンバーで、埼玉県入間市のジョンソンタウンを訪問。磯野商会という地元の不動産会社が一括して経営している賃貸住宅・商業施設の地区である。当初は農地として所有し、朝鮮戦争時に近隣の米軍ジョンソン基地で住宅需要が高まったことから米軍用の住宅地として開発し、当時の米軍住宅が7,000坪の敷地に建設された。その後米兵は去り民間賃貸住宅地となったが、1990年代には老朽化、住民の高齢化が進み、全体の再開発という話もあった。しかしこの土地ならではの米軍住宅の希少性、文化性にこだわりもった先代社長が環境の保全・再生を決定。建築家や都市計画家とチームを組み、この地に愛着を持つ人たちが住み、働く街になっている。現在の住民は約130世帯、200名、店舗は55店に達している。賃料は周辺相場よりもだいぶ高いが、入居待ちがある状況という。
 土地、建物はすべて磯野商会が所有し、賃貸としている。店舗に改装の際には、オーナーとテナント、建築家が協議し、デザインや費用負担などを決定しているという。このような、民間不動産会社が理念を持ち、地域の個性を活かしたまちづくりを行っている例は非常に珍しく、画期的である。街を歩くとよき時代のアメリカのおおらかな雰囲気が漂い、住民や商業者が楽しみ、誇りを持って住み、暮らしていることが感じられる。
 これに似た例として、バークレーのフォースストリートを思い出した。そこはかつては工場、倉庫などであった地域を、地元ディベロッパーが市から段階的に購入し、地元に事務所を置いて、徐々に商業地区として整備したものである。建築はかつての倉庫等をリノベーションし、ヒューマンスケールがあり、区域としては小さいが、歩いて楽しめるストリート空間となっている。ひとつのディベロッパーが地域に密着し、歴史や個性を活かして丁寧な再生をするという点が共通である。
 ジョンソンタウンは近年商業施設が増え、観光客が増えているが、それによってプライバシーの侵害などの問題も発生しているという。今後とも「住む」ことを基本とし、地域を愛する人たちが商業を営むまちであり続けることを願う。

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David Sim講演&シンポジウム

 10月9, 10の両日、芝浦工業大学でヤン・ゲール事務所のデイビッド・シム氏をお迎えし、パブリックライフ・パブリックスペースをテーマとした講演会とシンポジウムを開催しました。鈴木研究室は企画主体として、運営事務局を担当。9日は大宮キャンパスで「ゲール事務所の世界での仕事」についての講演、10日は豊洲キャンパスで、国内で活躍している”プレイスメーカー“6名をパネリストにお迎えし、「日本のパブリックライフを豊かにするにはどうしたらよいか?」についてデイビッドの講演とパネルディスカッションを行いました。
その詳細な記録は他の場でされるとして、私の意見、感想を記します。
 まず、このテーマに関するデイビッドの情熱に感嘆しました。彼は世界のさまざまな都市で、調査や計画の実務、教育・啓発活動を長年行っているエキスパートですが、その精力的な活動を支えている情熱、使命感はすばらしいものです。今回も忙しい日程の合間を縫って来日し、非常に熱心に講演活動などをしてくれました。日本の関係者に彼のファンが多いのも当然のことと思います。改めて感謝します。
 日本では近年、パブリックライフやスペースの充実化を求める動きが各地で出ており、大変良いことです。今後それを定着させ、発展させるためにはどうすればよいか?
ざっと挙げただけでも次のような課題があります。
 法制度の問題。パブリックライフを豊かにするために、有効な法制度はどのようなものか?弊害のある制度のブレイクスルーは、どのようにすればできるか?
 旧来からの行政縦割り、権益確保意識がいまだに非常に強いなかで、どのようにして分野横断的取り組みができるか。
 企業を巻き込む方法は?資金面、社会への影響力、市民参加などの観点から、企業の協力が重要。
 一方、企業の目先の利益優先の姿勢に対する対策、たとえば売り逃げデベロッパーに対する効果的な対策はどうしたらよいか。
 樹木、緑がある街路に面した建物のほうが不動産価値が高いということを論証することができるか。近年話題になっているESG(環境、社会、ガバナンス)を重視した投資をどうやって誘発するか?
 交通工学などに基づいた標準的土木設計に対し、人間行動の原則にもとづいた空間設計をどうやって行い、実施するか。
 一過性のイベントや社会実験だけに終わらせないためにどうしたらよいか。市民や企業の参加意欲を促し継続するしくみは?
 日本での自転車の安全・快適走行の普及や、駐輪整理の方法はどうすればよいか。

どれも容易に結論が出せる問題ではありませんが、ひとつひとつに丁寧に取組んでいくことが大切と思います。その際に留意したいことを挙げてみます。
 心理学、福祉、健康、経済など幅広い専門家と組む。
 市民の声を広く聞く 市役所、警察など関係者との対話は必須。
 効果を数字で示す、見える化する。相手にとって関心があり、わかりやすい方法で。
 政治的な活動も必要。
 空間や行動を厳密に管理しすぎない。
 まずはやってみせる。
 地元の地形、文化、気候、歴史、産業などの個性を尊重する。
 ねばりづよく、続ける。
 デザイナーや計画者が主役ではない。使う人が主役。
 デザインを発する!シンプルな概念図、平・断面図、パースなどで。

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研究室にDavidをお迎えしました


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UDCOアーバンデザイントーク

9月19日の夜、アーバンデザインセンター大宮(UDCO)主催のアーバンデザイントークが行われ、芝浦工業大学鈴木研究室から2名の学生が参加しました。会場は、さいたま市大宮区役所前の道路拡幅予定地で、屋外空間の暫定利用イベントとして、トークスペースやカフェが設けられたものです。
 トークのテーマは、大宮在住あるいはゆかりのある若者が、大宮の魅力や課題について自由に語るというもので、普段はなかなか聞けない若者の本音が聞けてよかったという意見がありました。当研究室の学生たちもそれぞれ自分たちの思いを熱心に語っており、また吉祥寺から来たという早稲田の女子学生は吉祥寺にない大宮の魅力について語り、新鮮でした。
 大宮は埼玉県では最大の繁華街で、県内の商業中心地ですが、一方首都圏としてとらえた場合、横浜などと比べると個性、イメージが弱く、また氷川神社などの地域資源が活かされていない印象があります。地域のよさを積極的に評価し情報発信していくことが必要です。
 また、このUDCOのように、まちづくりや都市デザインについて語り行動できるオープンな場を継続することがとても大切です。これからも何らかのかたちで大宮のまちづくりにも係わる機会があればと思います。
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軍艦島

芝浦工大鈴木研究室合宿で長崎の端島、いわゆる軍艦島を見学した。江戸時代の1810年ごろに石炭が発見され、1890年に三菱の経営となった。もともとは2haほどの草木もない島だったが採炭技術の発達とともに埋め立て、拡張され6.3haとなった。1960年ごろの最盛期には5,300人が居住し、地下1,000m以上まで坑道が延びていたという。閉山後44年を経て風化、劣化が進み、現在残っているのは往時の約半分である。残っている多くの建物もいつ倒壊してもおかしくない状況で、その保存はきわめて難しいとのこと。海上の孤島にこのような超過密工業都市があったという事実と、その迫力に圧倒された。

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島の周囲には、台風などに備えてぐるりと高い岸壁が築かれている。

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写真のアパートは築101年、日本で最初の高層RCアパート。

島には商店、映画館、病院などがあり、自立した都市であった。また、緑が全くなかったため、アパートの屋上には日本発の屋上菜園が作られていた。

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左側の建物は、1958年に建築された学校。1-4階は小学校、5, 7階が中学校、6階には講堂や図書館などがあり、給食を運ぶために島で唯一のエレベータもあった。

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伊香保温泉都市計画 [都市計画]

群馬県の伊香保温泉、365段(実際はさらにある)の石段街の中ほどに「我国温泉都市計画第一号」という石碑が設けられている。これは、現在の都市計画法に基づく都市計画という意味ではないが、温泉を活かしたまちづくりという意味では大変興味深く、画期的といえる。このような、地域資源を活かし振興につながる計画こそ本来の都市計画と言うべきだろう。

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以下、「渋川伊香保温泉観光協会ホームページ」より要約。

「天正4年(1576年)、郷土であった7氏が湯元から現在地に集落を移し、伊香保の石段街を作った。湯元から温泉を引き、石段を作り、中央に湯桶を伏せ左右に調整、区画された屋敷に湯を分けるという日本初の温泉リゾート都市計画であった。
 昭和30年代、大型バスの団体旅行客の来訪が増え、その対応のため、境沢地区の町有地を民間に開放して新温泉街を建設造成する計画が立てられた。この土地は希望者に分譲する形を取ったので、異業種からの旅館参入が増加した。こうした取り組みは温泉地としては最初であり、旅館経営を希望する人が多くなったため、昭和39年には抽選で旅館経営の許可が出されることとなり、これは「大伊香保計画」と呼ばれた。」

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富岡製糸場と絹産業遺産群

 8月9日、富岡製糸場を見学。世界遺産登録の際、申請資料の一部の英訳作業をお手伝いしたことがあり、登録後は初訪問。国宝でもあり製糸場のシンボルともなっている木骨レンガ造の置繭所などの建築群はもとより、さまざまな機械類や家屋、教育、自然環境など、地域の人々と自然が一体となって絹産業を育て支えたことがすばらしいと感じられた。
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東置繭所 外観と内部

 養蚕の研究や人材育成を行った高山社跡。かつてここが日本の養蚕研究、教育の中心であった。1階に囲炉裏があり、その真上の床には開口部があり2階の蚕棚の温度調整ができる。さらに2階屋根には排気口が設けられ、建物全体として換気ができるようになっている。

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 この近くに、同様な養蚕農家と思われる建物があり、建築的には高山社跡が特別なものではないと思われた。周囲は山地だがゴルフ場開発もされている。すぐ近くには清流が流れており、そこで川遊びをしている親子がいたので、川に入ってみた。気持ちよい!

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金沢パブリックライフ展 [まちづくりイベント]

 8月5日(土)から11月5日(日)まで、金沢21世紀美術館で日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念展「日々の生活 気づきのしるし Everyday Life - Signs of Awareness」が開かれます。その一部にPublic Life展があります。デンマークのヤン・ゲールらが取り組んできたパブリックライフ調査とパブリックスペースデザインの概要を紹介するとともに、金沢におけるパブリックライフ調査結果を展示で紹介しています。私は昨年秋、最初の段階から企画、調査、展示資料作成などに参画する機会をいただき、最終的な設営やプレオープンイベントなどに参加してきました。「パブリックライフ学入門」の翻訳をしたこと(4人の共訳)がきっかけです。
 調査は金沢工業大学、21世紀美術館ボランティアに、芝浦工業大学鈴木研究室の学生2名も参加し、延べ50名ほどが参加し、5月の週末4日間に行いました。対象エリアは、市民と観光客両方の歩行者の活動が比較的多く見られると予想された金沢市中心部の広坂、せせらぎ通り、たてまちストリート沿道の3地区です。調査内容は、歩行者数、滞留数と行動種別、滞留時間です。
 パブリックスペース、パブリックライフが美術館の企画展示となり、複数の大学と美術館のコラボで調査ができたことは画期的です。今回の調査は限られた回数、地区であり、これを持ってパブリックライフがわかったとはいえませんが、少なくともいくつかの発見がありました。この取り組みをはじめの一歩として、これから金沢のパブリックスペース、ライフが豊かになっていくことを大いに期待し、これからも金沢の方々と一緒に取り組めればと思います。
 このパブリックライフ展示は、美術館の無料公開パブリックスペースにあり、金沢に行く機会があればぜひご覧ください!

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神楽坂祭り&カーフリー

 7月26日から29日までの4日間、第46回神楽坂祭りが行われました。最初の2日間はほおずき市、地元名店の露店市、NPO粋なまちづくり倶楽部による浴衣でコンシェルジェなどが行われ、後半2日間は阿波踊り大会です。以前から、阿波踊り大会のときは自動車通行止めとされましたが、今年から前半2日間も通行止めとなりました。露店は歩道と車道の境界部に設けられるのですが、以前から歩道の人込みが大変なレベルで、特にメイン会場の毘沙門天前あたりは身動きがとりにくいほどの状態になり、祭りの主催者である商店会からは車両通行止めを警察に要請していたのですが、4日間連続ということに対して難色が示され実現しませんでした。しかしあまりに混雑して歩行者と自動車の接触事故などの危険があり、歩行者にもドライバーにも不適切な状態であったことから、ようやく実現しました。

 予想では、車道が歩行者に開放されるので、混雑は幾分緩和されるのではと思いましたが、実際は予想を大きく上回る人出で、毘沙門天前の歩道の状況は変わらず、車道も人であふれ、歩車道の境界にある縁石には多くの人たちが座っていました。その多くの人たちは露店などで購入した食べ物、飲み物を楽しんでいました。人は食べ物・飲み物を楽しめ座れそうな場所があれば、あまり快適ではない条件でも座ることを確認しました。これもパブリックライフですが、しかしあまりの混雑も考えもので、混み過ぎていて回避した人も相当いたようです。

 NPOの浴衣でまちあるきも、受付を設けた毘沙門天境内付近があまりの混雑のため、ゆっくりまち歩きを楽しむという雰囲気ではなく、お客さんはかえって少ない状況でした。車の通行止めは今年初めての試みで、露店の配置などは、車道と歩道の行き来をしやすくするなど、今後改善の余地があると考えられます。

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毘沙門天前 歩道側

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毘沙門天近く 車道側 カーフリー

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歩道と車道の間の縁石に座り込むひとびと

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路地に椅子テーブルを出す店も


高松の四国村

7/2(日)、高松出張の合間に四国村に行ってみた。民間の施設で高松市の郊外、屋島の傾斜地にあり、主に江戸時代から明治時代にかけての四国の民家や作業小屋、構造物などが移築された屋外博物館。安藤忠雄設計のギャラリーもある。それぞれ興味深い。

写真は南予の茶室「遊庵」で、街道を行くお遍路さんらの休息所だった。ちょっとした板の間があり座れるのだが、これを見てネパールの街にある「パティ」を思いだした。古代、ヒンドゥー僧侶たちをもてなし、あるいは休憩するために使われた小施設だったもので、今でも都市の縁側のような機能を持っている。都市のなかで、誰もがちょっと座って休めるスペースは、今も昔も必要とされている。
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また、斜面を流れる水が、とても上手に演出されている。現代的な演出ではなく、自然の地形に沿い、人々の生活のなかで水が取り入れられ生かされていた様子が感じられる。人々は自然の摂理を活かし、必要なものをつくっていた。それらは知恵に満ちており今見ても感動的である。
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こちらは砂糖しめ小屋と呼ばれ、サトウキビを搾った場所。円筒形に円錐屋根という、日本の伝統的建築には珍しい形態。
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都市環境から考えるこれからのまちづくり 新刊

 7月上旬に、森北出版から「都市環境から考えるこれからのまちづくり」が刊行されます。
 早稲田大学名誉教授で、私の恩師でもある尾島俊雄先生が監修的なお立場となり、尾島研究室卒業者を中心に17名が「都市環境学教材編集委員会」を組織し、分担して執筆したものです。
安心・安全、健康・健全、効率的・低炭素、快適、コミュニティなどがキーワードとなっており、私は「センスオブプレイスの保全と継承」として、主に神楽坂について1章分を担当しました。
 この本には前作「都市環境学」があり(私は執筆していません)、そちらは環境工学の教科書という意味合いが強いものでしたが、今回は、都市環境づくりについて多様化する社会的ニーズに対応したものになっていると思います。一方、17の著者とテーマがあるため内容が多岐にわたり、まとまり感はやや薄くなっています。テーマごとにはそれぞれの専門家が書いて充実したものなので、大学でも活用していければと思います。

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